「あーらーびゅー(I LOVE YOU)のパン、つくるー!」
食器棚を漁って長男が見つけ出したのは、食パンに「I LOVE YOU」とスタンプしてくれる道具。気に入って、この頃よく、I LOVE YOUトーストを焼かされています。次男の世話で食事の支度もままならないときなどは、これだけで、食事まで少しつないでもらったり。(でも、わりとおなかいっぱいになって、ちゃんとした食事が摂れなかったりして)
この道具は、ずーっとずっと前に、ソニープラザかどこかで買いました。たぶんアメリカの商品。片岡義男の『きみを愛するトースト』という本で紹介されていて(もうそれが小説だったか随筆だったかも忘れちゃったけど)、ほしいなぁと思っていたもの。一人暮らしをしていたときに、自由さと背中合わせで、ときどき寝返りを打って私を寂しくさせる気持ちを、癒してくれていた道具のひとつでした。
朝、誰とも言葉を交わす事もなく食べる朝食だけど、パンが「I LOVE YOU」って言ってくれる。それで、今日もがんばるか~って、ささやかながら思えて、ちゃんと仕事に向かえた日もあったのでしょう。
今は、当時は考えもしなかった家族4人の暮らし。寂しくはない代わりに、うるさーい! なんて思う瞬間もたくさんあるし、I love you なんて言いたくもないような、ささくれだった気持ちになることだってしょっちゅう。こんな小さな男の子と一緒に、このパンを食べるなんて思いもしなかったけれど、”あーらーびゅーのパン”がくれる、微笑ましい気持ちは時を経ても変わることがありませんでした。